1. 脳は推論で世界を見ている
3Dの絵が実際は2Dなのに立体的に見えるように、 人間の網膜に映った世界は脳の推論によって理解される。
これは視覚に限らず言えることで、感情も脳の推論によって生まれる。
脳は、身体の感覚と推論から感情を生み出すそう。
何らかのストレスを感じた時にまず身体の感覚(胃痛など)を受け取り、その原因となるものを環境などから推測する。
推論を間違えることも・・・
脳が考える原因はあくまで推測なので必ずしも正確とは言えず、誤った原因の例が吊り橋効果。
これは吊り橋のドキドキ(身体の感覚)の原因を、恋愛対象の性の人と同じ空間にいるという事実から恋愛感情と勘違いしている。
2. 脳の推論と現実のズレ
脳には、推論と現実のズレを検知するシステムも備わっているそう。
このシステムが大きなズレを検知すると、脳は自己効力感が低いと感じてしまい、 これが心理的ストレスに繋がる。
そしてこれが重症化すると鬱状態となる。
3. 運動と脳の推論
運動を起こす時のメカニズムにも脳の推論が関係している。
運動をしようとする時、脳はその運動に関係する筋肉を動かすための 神経のはたらきを調整すると思われていたが、 最近の研究ではそうではないことがわかった。
最近の研究では、行動を起こすときにまず脳は「その行動を起こした時の筋肉の感覚」を
イメージする。そして、そのイメージと同じことを脊髄で反射的に真似することで運動が起こる。
コップを持ち上げるときに脳で起こっていること
コップを持ち上げる時を例にすると、
この指を曲げて力を入れて・・・というように脳が筋肉を調整するのではなく、
まずコップを持った筋肉をイメージ→それを反射的に筋肉で再現する。
スポーツ選手が思った通りに身体を動かせる理由
スポーツ選手が思った通りに体を動かせるのは、脊髄に対して起こす行動のイメージを上手に伝えられるから。 つまり、筋肉の感覚予測(脳の推論)が上手だということ。
逆を言うと、脳でイメージできないことは実現できないのだ。
4. コミュニケーションと脳の推論
コミュケーションにも脳の推論が関係している。
コミュニケーションをとる時に脳で起こっていること
相手の表情や体の動きを見た時、まず自分の頭の中でそれを真似する(推論)。 (相手が笑っていると自然と笑えてくるのもその影響) そして真似した自分の身体の動きから共感的に相手の感情を理解している。
これをミラーシステムという。
自分の経験の多さと共感力
これも先程と同様、推論が上手にできない場合は相手の感情や意図を理解することができない。
そして、経験がないことは推論しにくいため、色々な経験をしている人の方が相手への共感がしやすいのかも。
感想
脳で上手に推論できないことは現実化することができないと言うのが面白かった。 巷で言われる「引き寄せの法則」はスピリチュアルのイメージが強かったけど、 脳の推論について知ると、脳科学でも説明できそうだと思った。
そして、やっぱり多くの経験をすることは、 人付き合いをはじめとした自分の人生の全体に大きく関わるんだと感じた。
参考
a scope ~リベラルアーツで世界を視る目が変わる~:Apple Podcast内の#29 脳科学で理解。私たちは「何を」見ているのか(ゲスト:乾敏郎さん)